おはようございます
le vent です
先日早朝 雨の中友人を在来線の駅まで送って行きました この季節の朝5時過ぎは空も明るく周りも顔の表情もよくわかります 駅に向かう人はまばらで途中一人の女性が追い抜いて行きました 足早に歩く姿は背中に小さなリュック 目深に帽子を被りその帽子のつばの下からは 一つに束ねた長い髪がリュックに被さっていました 特徴的なのは脚にぴったり貼りついたパンツ それは脚の形をかなり具体的に現し 強めのO脚を顕にしていました
駅近くの交差点に着くと先ほどの女性がすでに信号待ちをしており 少し離れたところで待っていると突然その女性が勢いづけて振り向き 去っていきました 後にはなんとも言えない不快感が残る去り方でした
駅舎は近代的な新しい建物です 煌々と明るい灯が瞬き二階にある改札口はまだ まばらな人の動きでした 突然 何処からともなく黒い丸いものが我々二人に向かって突進してきたのです 体に触れる寸前でピタリと止まりそのままじっと動きません 見ると黒いものは広げた傘です 傘の内側には 顔と体を隠し息を潜め 音も声も出さずとも 何かが潜んでいました 暫くすると立ち尽くす二人の周りを傘を広げ中に隠れたまま スッスッと摺り足で無言で回りはじめたのです あっけにとられ 何事!と思うだけで声も出ません
傘の中は間違いなく信号待ちのとき去ったあの女性でした 顔や姿を隠しても特徴あるあのO脚は傘の下に見えていたからです 明るい改札口を通り過ぎる人がいないわけではないのですか 声を出す声が出ず呆然とするのみです 暫く付きまとうと傘をさしたまま改札をぬけマスクをした顔で待ち受けている様子が見えました 反対側のホームへ降りて行く姿が見え 少し安堵し友人も改札を通り抜けました
すぐ駅舎の外に出てフェンス越しにホームの友人の姿をさがし安全を確認して後 ふと自分の周りを見ると なんとあの女性が近くにうろついているのです 雨の中 傘もリュックも持たず長い髪を帽子の下から垂らし何かを探しているようでした 濡れたその姿をみた時の不気味さと言ったら言葉になりません
異論は承知ですが 今回出会った黒い傘のこと もしその傘の下に凶器があり被害を受けても人権を始め守られるのは生きている加害者であって 命を奪われた被害者の人権など枯れ葉のように地面を舞うに違いなく まして襲った方が精神鑑定を受ける対象であればその傾向はより明かな気がします 責任能力 精神鑑定と常套句のように事件の度に聞かされます 何よりも被害者は人生を閉ざされたことは事実です
凡肉弱食 病そのものに襲われたという理解に苦しむ事件では 残されたものの怒りや悲しみをむける矛先がありません
病を持つ者も健常な者も命は一つです もし自分が 知り合いが 或いは家族が切り捨てられたかのような不幸な目に合っても 誰もが迎合できるのでしょうか ヒトには優しさ残酷さの相反する感情がありますが 理不尽な事件の関係者の双方が幾らかでも平穏になれる対処はないものなのか と まもなく人生を終える凡肉たる高齢者が 肌に感じた肌寒い朝でした