おはようございます
le vent です
寝室のTVに録画してあった映画「海を飛ぶ夢」を何かの弾みで消してしまったようで後悔しています DVDを求めれば済むことですがテーマの重さに背をむける自分がいます 偶然出会った映画で先入観は全くなく TVを楽しみながら眠る時の一本のつもりでした 内容は子守歌どころではなく 終いにはベッドに座って最後まで見てしまった記憶があります 時々思い出し 或いは意識する映画です 心のどこかにあります
映画は 若い頃海での事故が原因で首から下が完全に不随となりベッドに仰向けの姿で三十年近く寝たきりで過ごしている男性の手記を 映画化したものです 気が遠くなるような長い長い時間 想像の限界を超えます
弟家族の心温まる介護 殆ど変わらない視線の範囲 窓からの景色 ラジオやテレビで知る外の世界 たまにある面会 交流 受動的な無為の時間 それ故に自分と向き合う時間は有り余る程あり 心との会話になるのも自然な流れだと思います
もし自分がそのような状況に置かれたら と考えることがあります 狂おしい程の事故への後悔 自暴自棄 未来への絶望 ただ横たわる自分の有態 そのような日々に自分はどれくらい耐えられるだろうか・耐える術に出会えるだろうか 正常な心を保てるであろうかなど 想像だけでも気持ちが萎えます 恐らく心の奥に深く閉じこもってしまうのではないか…と
男性は尊厳死に希望を求めます 健全な心だからこそ尊厳死という選択にたどり着けるのかもしれません 自分の命を尊厳しその人生と存在を尊重し すべてを肯定も否定も積極も消極も昇華したからこそ命の始末に希望を見い出したのかと それは尊厳死への法的戦いに挑む姿勢に見えます 強く哀しいヒトの選択です
見守る弟家族各人のやるせなさが 去っていく車と田舎の道路と共に長く余韻で残ります
不治の病による長年の闘病 傍のものには理解出来ない痛み苦悩 周りの方々の気持配慮には深く感謝してもそれでも自らの命に尊厳死で終止符をうった日本人女性のドキュメンタリー放送がありました 女性の家族の葛藤や悲しみは想像を超えるものだったと思います 彼女はそれらをも承知の上の強い意志で残りの命の継続を拒否し見守る家族に 穏やかな表情と感謝の言葉と共に静かに目を閉じました 亡骸は法律で日本に持ち帰れず遺骨は現地スイスの川に流された と結んでありました
尊厳死を選択するご本人の心の奥はご本人にしかわからないもの 死という究極の選択に至るまでの心の経過も他人にはわからないもの 神の 無の 領域に近づいての選択かもしれません
自分の命の選択をするという人生最後の決断 ヒトだからこその特権かもしれません