レンゲ草 アザミ 線路 

地平線の夕日

おはようございます

le vent です

幼い頃住んでいた祖父の家は 小さな川を挟んで 両側に交互に田んぼと山がせめぎ合っているような村にありました 春の子供たちの遊び場は家の前を走る国道と線路に挟まれた田んぼで 穏やかな日差しになると遊んでいました 国道にはまだ舗装はなく車道には 轍で出来た二本の平行な溝があったころです

田んぼは国道と線路の間の低い位置にあり 道路際の雑草に捉まりながら土手を滑って田んぼに降りました 就学前の子供たちには春という季節に特別な意識はなく ただ外で遊べるという喜びだったと思います 時折 田んぼのあぜ道や国道を通る大人たちが 誰彼となく声をかけて行く 当時はそれが 見守り だったのかもしれません

土手には ツバナや土筆やスミレやタンポポ 他 名前も知らない多くの小さな花や草が一斉に芽をだし 特に田んぼはピンク色のレンゲ草の絨毯になりました 摘み集めて小さな輪っかにしたり 花束にしたり それだけで楽しかったのです レンゲ草の花は赤紫がかった小さな花びらで膨らみ クローバーのように長い茎の先についた丸い花でした 口に含むとほのかに甘い味がしました 

線路も格好の遊び場でした 土手をよじ登って線路際に立つと 枕木の高さや敷き詰められた小石で足元は悪く二本の線路を越えること自体が一つの遊びにもなりました 線路とその脇には草一本なく 土手は他と同じく春の花や雑草で覆われているのに 線路わきの土手にだけ 白い毛や棘に覆われたアザミがところどころに生えていました 薄紫の花までが近寄りがたい雰囲気があって アザミの花を見るために線路に入っていたような気もします

線路に耳をあてて 遠くから伝わるうねりのような音を聞き お互い誘ってまた耳をあてる という子供ながらに危険性を感じながらの遊び その姿をみつけて取るものもとりあえず大声をあげて飛んで来た大人たち 片側だけがピカピカに光ってどこまでも続いていた線路 最近たまに見る廃線になった赤茶けてさびた線路の姿 言葉に尽くせないものがあります

不要なものは消されて行くのが常ですが また新しいものが発生するのも時代です 人生 それぞれの思い出を連れて終えて行くのでしょう  

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