仰げば尊し

地平線の夕日

おはようございます

le vent です≫

記憶にある卒業式では 緊張した空気に満ちた講堂のステージ正面に国旗が飾られ 校旗は勿論大きな壺に旅立ちを祝うかのような生け花のアートが飾られていました ステージ下にはグランドピアノがいつもにも増して存在感を強めていたように思います 卒業生を取り巻くように先生方や在校生 保護者父兄が列席し静かに式は進行していったものです 

様々な式次第の終わり近くに「卒業生! 仰げば尊し 斉唱」という司会の先生の大きな声と共に卒業生は起立しました

静まり返った講堂 音楽の先生が弾き始める「仰げば尊し」のメロディー 起立した卒業生は自然と口に出るこの曲を歌い始め 段々卒業するのだという実感が湧き 様々な思い出がよぎり えもしれない感情は自然と大きくなって 溢れる涙を抑えることもせず 本当に卒業するのだと 改めて寂しさが全身を包みました 先生のピアノの最後の音が消えると「卒業したのだ・・ 居場所はもうない」と気持が未来に向いたように思います

「仰げば尊し」のメロディーは切なく美しくたおやかです 歌詞に時代錯誤的な言葉使いはあっても 思い出を優しくよみがえりさせます 卒業式には 校歌と同じく卒業生が思い出と感謝を込めて必ず歌う曲と 何の疑いもなく思っていました 

いつの間にかこの曲は消え去り 生徒主導の卒業式の歌が採用されていると聞きます「・我が師の恩・・」の歌詞が理由であると聞いたこともありますが 歌詞に対する先生方からの謙遜と遠慮なのか 卒業する側の先生方への評価なのか 時代の変化は合理性と主体性が尊ばれ 潤った心は遠のいていくようにも思います しかも時代の急激な変化のスピードはゆったりとしたこのメロディーにはそぐわないかな・・・ 

音楽を含めあらゆる芸術は人の心を左右する力のあるものと その重大性が時々取り上げられます 卒業式で歌われていた「仰げば尊し」は師弟双方が原点に戻れる歌詞とメロディではなかったかと思うのですが・・もうこの曲さえ知らない世代の方が多いのでしょう 

「仰げば尊し」を斉唱し終えた瞬間は 卒業と旅立ち のけじめをつけてくれたようにも思います

 

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