ハワイ 1本の木

地平線の夕日

おはようございます

le vent です

20代の初めに行ったハワイは アメリカ本土ではなくともアメリカという国を覗いたという小さな満足感がありました 当時は旅行に限らずすべてにおいて情報の収集は非常に限られており 写真 映画 本 其の他新聞などで知ることが多く しかも周りに海外経験のある親しい方は殆どなく カラーグラビアなどで眺めるのが 最も多かったように記憶しています

日付変更線を超えたところにあるというハワイ 地図で見る広い太平洋の想像もつかず 日付変更線はどのようになっているのか 他愛のない興味も楽しみもありました 当時「夜間飛行」という香水があって 夕刻に羽田を飛び立つのは まさに夜間飛行だという語呂合わせにワクワクしました

初めての ハワイは驚くような経験と文化が溢れていました 最も感動した経験 その文化は 4島を観光した中で どの島かは忘てしまいましたが広い畑の中にあった空港です 多分サトウキビ畑であったと記憶していますが 空港の周りには人工物は何もなかなかったように記憶しています だだっ広いだけの田舎の空港です  

空港ビルの正面玄関は 開放的でドアは無くロビーにいきなり入れました 中に入っていくとロビーの中に大きな木が生えていました 勿論建物の中です その木のために建物の天井をくりぬいてあったのです 木は天井を潜り抜け屋根の上に枝を広げていました 今でこそ どこかしこで見る光景ですが 50余年も前のお話です ビルのデザインでもあったのでしょう 一本の木を生かし デザインとしても斬新で見とれていました 都会の真ん中でもない ただ畑の中の田舎の空港です アメリカという国の想像を超えた魅力がありました 

それから十年程も過ぎたころ 当時住んでいた地方都市では 道路の拡張工事や街の区画整理など多く行われていたのですが 現存する並木は伐採する 風向明媚に大きく貢献し住民の間で親しまれていた木も伐採するなど と淡々と伐採しながら工事が行われ 広くシンプルな道路に白線と信号ばかりが目立つ風景になりました 伐採の理由は「工事の邪魔だから」でした それが当時の考え方だったのです 勿論誰も反対の声を上げることはありませんでした

その後 かなりの年数がたって 日本でもやっと都会のある新築のビルのそのロビーに 木を植えてあること 緑の癒しの広場があるなど ニュースになりました 最近でこそ 建物の中で植物や木を育てる 共存するというのは当たり前になっていますが 長い期間 植物に限らず小動物に対しても冷たい接し方が普通だったように思います ただ経済の発展に追いつけ追い越せに集中した時間だったのでしょう 動物好きのle ventは 長年にわたって成長している木々なども含め スパスパ切るやり方 動物への接し方など 日本は残念だな 遅れているんだな とハワイの田舎の空港を思いだしていたものです 

もう随分時間が経っても 鮮明に覚えているハワイ 記憶に残っているハワイは いくつもありますが この田舎の空港の一本の木に対する考え方は 初めての経験だけにその後いつまでもle ventに大きな影響を与えてくれたと思っています その後に何度か訪れたハワイには その空港はもう見当たりませんでした おそらく立派な近代的な空港に様変わりしたのかもしれません が 心にしっかり残っています  風が畑の作物をなでながら吹ていた穏やかな日のハワイの思い出です 

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