庇の深い家

地平線の夕日

おはようございます

le vent です

毎日まいにち 白い日差しと猛烈な暑さです 外に出るのは必要不可欠な事情の場合のみですがそれでも 先延ばしにする理由を探します 家に閉じこもっても南東向きの家は 遠慮なく日が差し込んできます 木が木陰を作ってくれるとはいえそれに甘えると 木は日あたりの良い位置にあるだけに思い切り枝を伸ばします 枝落しをしなければ小さな家は枝に覆われてしまうからです

思い切り枝落しをした結果 今年の夏は朝から強い日差しに襲われています 最近 早朝以外窓のカーテンを開けることがありません ガラス越しとはいえ 日差しの強さは室温に影響します 毎日少しの木陰とカーテン越しの薄暗い明るさの中で愛犬バッハと 日が西の方に回っていくのに従い少しずつカーテンを上げます 

時々庇を見上げることがあるのですが 幼い頃から記憶にあった深い庇とは全く違います 屋根の先に本当に短い形ばかりの庇がついています 兎に角庇はありますよ と 言ってるように感じます 立派なお屋敷の屋根には深い庇がありますから 予算が潤沢にあればできるのでしょう もう随分前になりますが家が出来上がって最初に感じたことが「庇が無い!」ということでした 庇は深くて当然という思い込みから 建築中一度も確認しなかったことを悔やんだものです

幼い頃に育った祖父の家は 表座敷を囲むように直角に曲がる長い廊下が伸び その廊下には 等間隔に柱がありました 庭に降りるための石段は大きく高く 最近テレビで見るお寺の廊下みたいな記憶です 夕方になると戸袋から雨戸を一枚ずつ引き出し 廊下の直角に交わる角の柱まで押していくのを見ていた記憶もあります 大人にくっ付いて押すのを手伝いながら 途中見上げると深い庇が伸びていて真上の空は見えなかったように思います

町には多くの瀟洒な外観の家が並びますが 庇の深い木造家屋というのは余り見かけません 庇の深さは当たり前だった昔の家屋 廊下に腰かけて日差しを避けながらおやつを食べ 雨の打ち込みを避けながら見た屋根から落ちる雨の滴 遠くの雨雲 昔の思い出はもう再現できません 庇は深いものと疑いもなく信じていた自分が時代遅れになっていることに気づいても 庇の深い家にこだわる自分は変わりなくいます

昔の広さの廊下に囲まれた平屋の庇の深い小さな家に 愛犬バッハと終生住みたいと最近ことに夢見ます 庭は哲学的な日本庭園ではなく身の程にあった広さの芝生と 数本の木と 愛犬バッハの自由に遊べる空間があればいいという 乙女チックな夢です 長い水平線の見える見晴らしのいい場所がいいなど 夢は年齢に関係ないようです 

買い物は?病院は?ペットクリニックは?など現実を問われると 運転免許の更新に悩む現実に引き戻され 今の短い庇の家が終生の家なんだと我に返ります 白い日差しの毎日だからこそ 夢をことに見るのかもしれません

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