お盆 土葬

地平線の夕日

おはようございます

le ventです

今年は新型コロナウイルスのため「特別な夏」になってしまって 夏休みの慣例でともいえる人々の大移動は抑えられ ただ暑いだけの 熱中症の心配だけの 夏休みになっていくようです 社会人の夏休みは殆どお盆を挟んでいますが お盆と言っても昔と違ってお墓参りに親族が集まることも少なく 夏休みのプランにお墓参りというのも おそらく少なくなっているのかもしれません  

遠く故郷を離れてしまうとお墓とのかかわりも薄れます 「墓じまい」という言葉も耳にしてなるほどと思います 幼い頃に住んでいた村の墓地は 山の尾根が突き出た松林の丘にあって 墓地に行くと必ず何処かの家のお墓に新しいお花が手向けてあるのが見られ 直近にお墓参りがあったという思いをした記憶があります      

 お仏壇の扉が大きくあけ放たれ その前には沢山のお供えやお花が所狭しと並び それらを挟むように幾つもの様々な提灯が並びました 夕方になると提灯の蝋燭一つ一つに火がともされ オレンジ色の炎がちらちらと揺れているのが感じられるいつも静かな夕刻でした 

夕闇が迫ると どこの家でもいくつかの提灯を手にお墓参りに出かけます 街灯もなく 車のヘッドライトの明るさもない中 田んぼの稲は更に黒く沈み それらの間のあぜ道を墓地に向かう提灯が揺れ 中には長い竹竿に多くの提灯をぶら下げてお墓に向かう 初盆の家もあって子供心にも特別な光景でした 

長方形の深い穴に静かに降ろされる祖父の棺 それを見守る参列者 家長から順番に一握りづつの土を 穴の底に横たわった祖父の棺に投げ込んでいきました それがle vent が 経験した最初で最後の土葬です 土で埋められたその穴の上には 白木でできた小さな社が置かれ 白や銀色の紙でできた蓮の花がお線香と共に飾られました なぜお墓の石を置かないのかの問いに 大人の返事は「石を置くと おじいちゃんが重くてかわいそうだからよ」でした

棺を閉じる前に家族の夫々の薬指の爪を切り 三途の川の渡し船の駄賃と共にまとめて棺に入れていたのを覚えています 勿論 幼い le vent の薬指の爪も 祖父と一緒に旅立ちました 右手だったか左手だったか覚えていませんが  

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