おはようございございます
le vent です
子供の頃 日曜日になるとたまに映画についていきました 大抵が「西部劇」で勿論邦画も見たのでしょうが なぜか西部劇の記憶の方が強いのです 「テクニカルカラー」とか「総天然色」と強調されたタイトルが流れて行きました まだ邦画にはカラーの作品は多くなかった頃かもしれません そういう頃です
当時のカラーは赤や青が強く 特に西部劇では土は赤茶けていて アメリカは土地が赤いっぽいのだと思い 湖や池の色は濃い青なんだと思っていたのです スクリーンの右端に縦書きで出る日本語の翻訳 漢字はたまに略字で表示されることもあり 読めない漢字は飛び越え ひらがなを拾い読みしながら同時に画面を追いかけるのに懸命だったことを思い出します おかげでだいぶ漢字を覚えたように思います
「西部劇」も初めの頃は白人対インディアンという構図が多く 殆どインディアンが白人を妨害する悪に設定されていたように思います 奇兵隊 駅馬車などは常にインディアンと闘い 奇襲に会うのです 「西部劇」で子供心に受けたインディアンは悪い人という印象は長く引きずりました 怖いものです
赤茶けた荒野や果てしない大地に 白くくねって続く道 途中岩山や奇妙な岩が目立つ場所になると突然 群れを成して襲い掛かるインディアン いかにも悪そうな怖そうな顔のたくましい 日に焼けた裸のインディアン 顔の周りに大きな羽根飾りを纏った酋長の威厳 姿をみるだけで萎縮したのです
「西部劇」の主題もだんだんその構図が変わるようになりインディアンの姿は消え ならず者 賞金稼ぎ 流れ者などと正義の戦いが増え 愛や正義が主題になって行ったように思います 悪徳保安官 銃の早打ち 必ずや登場する美しいマドンナ など楽しませるには事欠かない「西部劇」になりました
荒野の町のダウンタウンは重要な場所になり ウッドデッキのような手すり付きのベランダにテンガロンハットの猛者が道行く人を眺め 馬つなぎ 胸元あたりだけの跳ねる扉 グラスを滑らす酒場のカウンターなど 普段身の回りにない光栄です 恐らく目をむいて見ていたことでしょう ホテルの部屋の隅に置いてあるホロ―びきの洗面器と水差しの使用目的が分からず 飲み水には大きすぎる 顔を洗うんには水浸しになる恐れになる などの余計なことばかりが気になりました
記憶に間違いが無ければ 天井から落ちて来た一滴の血液が 酒場のカウンターのグラスに ポトン と入って敵を見つける「リオ ブラボー」 ピアノを弾く女性の長い裾のスカートに隠れる「大砂塵」「ジョニーギター」のメロディと共に忘れられない場面です 子供の記憶に残った思い出の映画です
今や モニュメントバレー等の映像をみる度に インディアンが隠れていたのは ここかあ!!と 撮影場所の推察というつまらない現実に走る 年寄りの現実です