蓄音機 音楽 葬送の曲

地平線の夕日

おはようございます

le vent です

新型コロナウイルスは自由な外出も自粛せざるを得なくなり 部屋の中での時間の過ごし方は気分を左右します バッハとの二人暮らしはほぼ毎日のスケジュールが決まっていて 毎朝の家事やバッハとの散歩をすませば あとは長ーい自由時間です 時間潰しのつもりが癒しになってくれる音楽です 

音楽は好きな方だと思いますが 解説できる程の感性も知識もなく 著名な演奏家のCDを聴くと素晴らしい演奏なのだと解説に従って信じる程度です  

就学前 身近に当時では贅沢な音楽の好きな大人がいて 蓄音機でよくレコードを鳴らしていました 正方形のしっかりした黒っぽい箱だったと記憶しています 百合の花のようなラッパが不思議とぴったり黒い箱に治まっていて いざ聴くとなると蓋を開け箱の中からくねくねとラッパを引き出し レコードを回転盤の上にセットし 箱の横にハンドルをつけて回すのです 回転盤が回り始めるとその溝の一番外側に針を落とすと音が響きだしました 

大人のその一連の作業を 蓄音機に膝をくっつけるように正座して見守ったのですが 不思議なことだらけでどのような曲やメロディだったか記憶にありません 大きくて丸く黒いレコードには 真ん中に小さな穴が開いていて その周り全面に細い糸のような線が無数にありました その線は一体何本あるのかとか その線からなぜ音が出てくるのか とか子供心に大きな興味がありました 

時々ふにゃふにゃと音が乱れると 慌ててハンドルを回し ふにゃふにゃと聞こえ乍らもとに戻るのです レコードも蓄音機も不思議の塊で 蓄音機を引き出す様子が見えると 離れの部屋に飛んで行きました 

就学後はその環境から離れ蓄音機で聴く機会も無くなりました せいぜいラジオから流れる曲を聞き流す程度の関わりだったように思います ある日家に帰ってみると 当時よく見られた家具調のステレオが据えてありました この時に聴いた「エンペラー」と「くるみ割り人形」がいまだに忘れられません 狭い小さな家の中でのこの響きは 家中に聞こえ 始めて耳にした時は思わず足がすくんで動けなくなったことをいまだに思い出します

このころから 音楽がいつも生活の端々にあって生きて来たように思います ジャンルは問わず 随分気持ちを救い励まされてきました レコードはカセットテープになり CDに変わってきました 蓄音機に膝をくっつけなくとも どこでもどのようなスタイルでも音楽が聴けるのです 

長い眠りにつくときはどの曲で送ってほしいかな と時々考えます

 

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