おはようございます
le vent です
眠れない夜中TVを入れると 蒸気機関車の映像が流される番組に出会うことがあります
祖父の家の下は国道が走り その向こうには田んぼが広がって 近くに遠くに左右から山がせり出して 夕焼け時には山の影が島のように見えていました
国道と手前の山と田んぼの丁度真ん中あたりを ほぼ国道と並行して鉄道が走っていました たまに蒸気機関車が客車を連ね 時には太い煙を吐きながら汽笛を鳴らて走りました 線路は田んぼの中を国道と長く平行に続き 客車の最後尾がはっきりしなくなる頃 山陰に入って見えなくなるのです 村の駅はその先にありました
国道から直角に田んぼのあぜ道を行けばすぐ線路の土手にあたり なぜか 春のあたたかな日差しの頃は 子供たちの格好の遊び場になりました
線路の真ん中に立つと まっすぐ二本の線路が続き 土手にはツバナや土筆 アザミの花など春の草が生え 田んぼはレンゲソウでピンクの絨毯に染まった季節のことです 単線で汽車はたまにしか走らず 通過すると 大人たちは 何時だ と時計代わりにしていました
子供達は 線路におおいかぶさるようにして耳をあて 汽車のくる音が聞こえるんだと 面白半分に遊んでいました 田んぼで作業している大人たちが 大声で叱るのも気にせず 特に男の子たちは大人が土手から線路までかけ登って追いかけてくるまでふざけていました
汽車が通過するときは 時にはデッキから荷物を投げ落とす乗客がいて 土手の近くでは それを待ち受けているのです 駅から家まで荷物を持ち帰るのを 手抜きしたのだと思いますが 多分荷崩れの方が大変だったような気もします
あれもこれも もう時効です
戦争中 この汽車が空爆され機関車は何度も何度も大きく汽笛を鳴らし 線路で止まり 村人は総出で止まった列車に走り寄り 負傷者を助け出したという悲惨な過去のある線路です
le vent達が 線路で遊んだ頃は その影はみじんもなく春の陽気が漂っているだけで 今思うと ただただ平和な春の思い出です