おはようございます
le vent です
就学前までいた村では 幼い子供たちの娯楽と言えば友達と外で遊ぶことで それしかなかったように思います 舗装されてない国道 極たまに走る鼻の出た路線バス そのような村です
農村地帯 大人たちは昼間 皆田んぼや山に出かけ 家に居るのは就学前の子供か かなり老齢の者しかいなかったのです 近所の同じ年頃の子供たちがせいぜい3~4人集まって 他愛もないことに 夢中になっていただけの遊びです 時には少し年齢が上の先輩が参入することがあって そのような時には 遊びも形があり少し遠出もしました
先輩と言っても同じ子供 せいぜい小学校の低学年ぐらいの先輩だったと思います 年下の幼い子供の世話をしながら 子供たちにいろいろ遊びをリードし小さな冒険をも楽しませてくれました 要は子守です 子供もそういう形で働いていたのです
子供の世界には しっかり縦の社会があって年上の子供の責任は重く 年下の子供は先輩の言いつけをよく守りました 遊びほうける子供たちに声をかける大人の言葉は 「人さらいがいるから 気を付けなさい」というものでした 子供たちが「人さらい」という言葉をどこで覚え理解していたのかは不明です
どの家の家族構成も衆知され 子供もどこの家の子であり 年齢は幾つなど 皆が知っているような環境で個人情報などなんのそのです 当時はみんなが貧しく働けど働けどの時代だったようです 農家では夜遅くまで夜なべ作業に追われ 子供たちは今でいう放任でした 気になりながらも放任という現実に 親たちは言葉での見守りを「人さらい」という一言でカバーしていたのかもしれません
どこかの警察署の垂れ幕に「子は親の背を見て育つ」というのがあって よく見上げたものですが こじつけでもあの頃の子供たちは親の背を見ていたのかもと思います
「人さらい」というのは何を意味しているのか分かりませんが 見知らぬ人についていくな!ということだったのか 無茶なことをすれば 人さらいが隠れているから怖いよ という遊びへの警告だったのか のどかなゆったりした農村には不似合な言葉として記憶にあります あの村の人達ののどこに「人さらい」とい言葉があったのか 今となっては分かりません