おはようございます
le vent です
小学校の頃は夏休み中 例年田舎の祖父の家に行かされ夏休みを終えるのが当たり前でした
田舎の子供たちの遊びは限られます 大人の誰かが子供たちを集め 海に連れて行ってくれることがあって それが夏休み最高の楽しみでした
海はかなり遠く 田んぼの中の道を歩いて砂山に向かいます 砂山の坂を上ると松林が見えるのです 松林の入り口までは道を挟んで両側にスイカ畑がうねって広がり 海は長い松林を抜けてやっとたどりつけるのです
松林の中の砂の道は 裸足で歩く足の裏に 木漏れ日で温もっている個所や ひんやり冷たさを感じさせる箇所 落ちた松葉が時々足の裏にチクッと刺さったり 変化に富んでいたものです 周りは見渡す限り松ばかり たまにグミの木がアクセントのように在るだけです そのうちに潮騒が松林を抜けて聞こえ 松林を抜けて海を見下ろすところに形ばかりの海の家が見えると 到着です
海は 釣り針状の小さな入り江になっていて 波打ち際からの海の色は輝いて薄く広がり だんだんに濃くなっていき 突然のように青くなる外海の色が綺麗でした 入り江の片側は小さな岬 反対側には遠く小さく鉄道のトンネルが 黒く口を開けて見え 運が良ければ蒸気機関車が煙を吐きながらトンネルに入っていくのが見えるという 子供心にも興奮して見る素晴らしい景色です
波うち際までは 砂の坂を駆け下り 焼けた砂浜を飛び跳ねながら走り 海に飛び込まねばなりません 遠浅の海は水温は温く なかなか膝までの深さにさえなりません それでも海に入るだけでも楽しいことでした 浅い海に座って水を掛け合ったり手や足で砂をかき回すと 貝がざらざらと当たるのです
松林に入る手前 大人はわんぱく坊主を引き連れてスイカ畑に入り 転がっているスイカを指ではじいて選別しスイカを持ってきました そのスイカを海に浮かべ おやつに割って食べさせてくれたのです 夏の日差しで十分過ぎるほど温もったスイカは ぬるい海水で冷され 塩水の混じった味 砂のついた手で食べました 遠い海までの道のり 交代でスイカを担いで運んだ子供たちへのご褒美です のどかな時代でした スイカの代金は・・・知りません!!